昔、会社を立ち上げたときに、ある方から「三方よし」と書かれたシールをいただきました。
当時は「いい言葉だな」と思っただけでしたが、
いま、ひとりで仕事をするようになってその意味を深く感じます。
「三方よし」──売り手よし、買い手よし、世間よし。

この考え方こそ、ひとり起業や副業など、
“自分で働き方をつくる人”にとっての羅針盤になると思うのです。
「三方よし」とは?商いを超えた生き方の知恵
『売り手よし・買い手よし・世間よし』
近江商人の商いのスローガンとして知られるこの言葉は、
“自分も相手も、そして社会も、みんなが良くなる関係をつくる”という意味を持ちます。
琵琶湖周辺で発祥した近江商人たちは、全国を行商しながら信用を重ねていきました。
「売り手と買い手の満足だけでなく、その取引が社会全体の幸福につながること」
──それが彼らの商いの哲学でした。

売り手よし──自分も心地よく働けることが第一歩
昔の商人にとって“売り手”とは、従業員を含む仲間を意味していました。
丁稚奉公の若者たちに、月に一度はすき焼きをふるまっていたという話もあります。
(きっと近江牛だったのでしょうね!)
今の時代の“売り手よし”は、ひとり起業や副業であっても同じです。
自分自身が心地よく、誇りをもって働けているか。
一緒に協力してくれるパートナーや外注先、仲間たちが、気持ちよく関われているか。
無理をして疲弊してしまう働き方では「よし」とは言えません。

“自分も笑顔で続けられる仕組み”をつくることが、結果的にお客様にも良い循環を生みます。
買い手よし──信頼を得ることが、次の仕事を呼ぶ
近江商人は、知らない土地で商売を始めるとき、まずは信頼を得ることを最優先にしていました。
利益よりも「相手に喜んでもらうこと」。
その姿勢が新しい取引先を生み、長く続く関係をつくりました。
現代のひとりビジネスでも同じです。
一度きりの販売で終わるのではなく、
「またお願いしたい」「紹介したい」と思ってもらえるかどうか。
リピートや口コミは、広告よりも大きな力を持ちます。

“誠実な仕事が次の仕事を連れてくる”
──これが「買い手よし」の本質です。

世間よし──社会とのつながりを意識する
「世間よし」は、現代で言えばCSR(社会的責任)やSDGsの考え方に近いかもしれません。
でも、個人のビジネスでも実践できることはたくさんあります。
たとえば、
自分の経験を発信して誰かの役に立つこと。
地域の活動に関わること。
あるいは、誰かが希望を持てるようなメッセージを届けること。
それも立派な「世間よし」です。
自分の仕事が誰かの笑顔や安心につながる。
そんな実感が、ひとりで働く私たちを支える力になります。

「三方よし」は、ひとり起業時代の“羅針盤”
「三方よし」は、商売のためのスローガンではなく、
“人としてどう仕事と向き合うか”という生き方の指針です。
売り手・買い手・世間──この三つの視点を持つと、
自分の行動がどこにつながっているかが見えてきます。
そして、その循環が信頼を生み、感謝を広げていくのです。

大きな企業だけでなく、私たち一人ひとりが「三方よし」の精神を持つこと。
それがこれからの時代の、持続可能な働き方なのだと思います。
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