最近では、誰もがよく耳にするようになった
「人生100年時代」という言葉。
しかし、冷静に考えてみれば──
誰もが急に100歳まで生きるようになったわけではありません。
では、この言葉の“本当の意味”とは何でしょうか?

それは、「長く生きる時代になった」ことよりも、
“人生の中で選択できる時間が増えた”ということ。
つまり、生き方・働き方の選択肢が多様になった時代なのです。
「ライフシフト」による新しい人生観
「人生100年時代」という言葉を広めたのは、
リンダ・グラットン著『ライフシフト』(2016年)です。
この本で示されたのは、従来の
「教育 → 仕事 → 引退」という直線的な人生モデルから、
学び直し・転職・副業・少し休むなどを自由に組み合わせる
“マルチステージ型”の人生へのシフト。
一度会社に入ったら定年まで──
そんな“常識”が変わり始めている。
私自身、初めてこの本を読んだとき、
「そんな生き方が本当にできるの?」と
驚きと戸惑いを覚えたことをよく覚えています。

50代は「3ステージ」と「マルチステージ」の狭間にいる
上の世代は「教育→仕事→引退」という3ステージ型。
下の世代は転職・副業・学び直しを前提に、
いくつものステージを行き来しています。
私たち50代は、ちょうどその「狭間の世代」と言えるでしょうか。
だからこそ、どちらの人生設計も選べる自由がありそうですね。
- これまで通り3ステージを走り抜けて「逃げ切る」か
- 人生後半を自分の意思で「マルチステージとして味わう」か
どちらを選ぶかで、これからの時間の質は大きく変わります。

データで見る「定年後の働き方」
近年、60歳以降も働き続ける人が急増しています。
こちらは、総務省の2024年のデータです。

- 60〜64歳の就業率 ・・約75%
- 65〜69歳の就業率 ・・約50%
- 70〜74歳の就業率 ・・約35%
- 75歳〜の就業率・・・約12%
(出典:総務省「労働力調査」2024年)

「65歳の定年(再雇用期間)まで働いたら、のんびりライフかな?」
なんて考えがちですが、現在でも65歳から69歳の、2人に1人が働いているのが現状です。
資料を見ても、60歳以降に働く人の割合は、年々増加しています。

また、働く理由も気になるところですね。
内閣府の「働く理由」データで、見てみましょう。

- 全体では、「収入のため(45%)」、「体に良い(23%)」、「楽しい(22%)」
- 年齢が上がると、「体に良い」「老化防止」と答える人が増加。
つまり、
60代以降で働く理由は、「生活のため」から、次第に「健康のため」と変化するようです。

自分の価値観を見つめ直すヒント
「これからどう働くか」がまだ明確でない方は、
まず身近な人の生き方を観察してみるのがおすすめです。
- 定年後も生き生きと働く上司
- 地域活動に参加する親世代
- 趣味を仕事にした友人
その姿を見て、「いいな」と感じるのか、
「自分はああはなりたくない」と思うのか──。

その“感情の反応”の中に、
あなた自身の「将来の働き方に対する価値観」のヒントがあります。
「せっかくなら、マルチステージの波に乗ってみよう」
私自身は、「せっかくだし、この変化の波に乗ってみよう」と思っています。
“働く”は、必ずしも雇われることを意味しません。
- 小さな副業や個人の仕事
- 地域活動やボランティア
- 学び直しや資格取得
どんな形でも、社会と関わり続けることが
自分らしい“働く時間”をつくることにつながります。

まとめ:「人生100年時代」は、“選択する時代”
私たち50代にとって、「定年」という概念は
もはやゴールではなく、“分岐点”です。
- 「長く働くことを義務」と感じるか
- 「選択肢が増えたチャンス」と捉えるか
意識の持ち方次第で、
人生後半の可能性は大きく変わります。
これからの働き方を、
「主体的に選び取る」視点を持つこと。
それが、人生100年時代を豊かに生きる第一歩です。

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