人生100時代の新基礎力

老後資金が貯まらないのは、夫婦のお金の価値観のすれ違いかも?

「子どもの習い事の費用って、そんなに必要?」
「え、公立?中学から私立の学校に通わせましょうよ」

そんな会話を、かつて夫婦で交わしたことがある方も多いのではないでしょうか。

価値観の違いは、教育費のような“子どものための支出”の場面ではいったん飲み込めたとしても、子育てがひと段落した40代〜60代になると、再び浮上してくることがあります。

「老後資金」や「これからの暮らし」にまつわるお金の話ですね。

特に退職金の使い道や、働き方の意識、趣味や旅行などへの支出に対する考え方で、夫婦間にすれ違いが生まれやすくなります。

なぜ、夫婦のお金の価値観はズレるのか?

そもそも、結婚したときのことを思い出してみてください。
私たちは、一生を共にしたいと思える相手に惹かれました。
その理由は大きく2つあります。

ひとつは、「自分と価値観が似ている」と感じたから。
もうひとつは、「自分にない感覚や行動力に惹かれた」から。

お金の使い方も、まさに“その人らしさ”が表れる部分です。

計画的に貯めたい人と、必要なときに気持ちよく使いたい人。
節約が得意な人と、経験に価値を置いてお金を使う人。

だからこそ、夫婦で補い合ってバランスをとってこられたのだと思います。

ですが、ライフステージが変わり、「将来」に目を向ける時期になると、その“違い”がストレスになることも。

たとえば、こんなすれ違い

50代60代の夫婦で、よくあるお金の価値観のすれ違いをあげてみましょう。

退職金の使い道

「旅行に行こうよ」という夫と、「まずは老後資金にまわしたい」という妻。

「自宅のリフォームをしたい」妻と、「まだ使えるからそのままで」という夫。

また、住宅ローンの返済に充てるか、投資を始めるかなどの選択も意見の分かれ目になり得ます。

大きな金額の使い道では、すれ違いがより大きくなりそうです。

これからの働き方

「65歳までは働くもの」と考える妻と、
「60歳でそろそろゆっくりしたい」と思っている夫。

定年後の再雇用や副業へのスタンスにも差が出やすいです。

働き方の選択は収入に直結します。
正解はありませんが、ここがすれ違うとストレスに感じるかも。

両親への援助や介護費用

自分の親への仕送りや介護の支出について、
「当然」と考える側と、「うちはうちで精一杯」と感じる側で温度差が出ることも。

このようなシーンで、「話が通じない」「なんでわかってくれないの?」とぶつかることが多くなるのです。

お金の価値観は“親の影響”を受けている

人は、知らず知らずのうちに“自分が育った環境”からお金の価値観を受け取っています。

たとえば、
「お年玉は全部貯金しなさい」と言われて育った人と、
「せっかくだから使っていいよ」と言われて育った人。

同じ“お金”に対しても、受け取り方が全く異なるのです。

また、両親が金銭トラブルで揉めていた家庭では、「お金=怖いもの」という印象が残っていることもあります。

結婚しても、育ってきた環境は違います。

だからこそ、「なんでそんなふうに考えるの?」と相手を責める前に、「自分はどう育ってきたのか」「相手はどんな家庭で育ったのか」を理解することで、お金の価値観の違いに納得できるようになります。

老後のお金に、夫婦で向き合うために必要なこと

もし、老後資金がなかなか貯まらないと感じているなら、まずは夫婦で“目標の共有”をしてみましょう。

  • 何歳まで働く?
  • 年金受給前にどのくらいの生活費が必要?
  • 老後に住み替えやリフォームはしたい?
  • 旅行や趣味に使いたいお金の希望は?

こうした“将来の暮らし”のイメージを共有していくと、自然と「じゃあ、今どのくらい貯めておけば安心か?」という話に落とし込めていきます。

私がFPとして家計相談を受けていた時、
夫婦でお金の話ができている家庭は貯蓄ができている印象がありました。

まとめ

お金の価値観については、相手の価値観を無理に変えようとしてもギスギスするばかりになってしまうでしょう。

お互いの「お金の価値観にどんな背景があるのか?」を理解し尊重することで少しづつ歩み寄ることができるのではと思っています。

  • 子育てが終わったあと、夫婦のお金の価値観のズレが表面化しやすくなります。
  • 育った環境や経験が異なるからこそ、お金に対する感覚も違って当然。
  • 「老後をどう暮らしたいか?」を具体的に話し合うことで、価値観の共有と目標設定がしやすくなります。
  • お金について対話できる夫婦は、老後資金も着実に貯めていけるはずです。