異世代の部下や後輩との関係づくりに悩む・・。
そんな声を、50代の管理職やリーダー層からよく聞きます。
メンター制度を導入しても、思うように信頼関係が築けない。
教えているつもりが、どこか“かみ合わない”感覚が残る。
そんなときにヒントをくれるのが、ケン・ブランチャード著『1分間メンタリング』という一冊です。

本書は、メンタリングの本質を「教える関係」ではなく、「お互いに学び合う関係」として描いています。
この記事では、その内容をもとに異世代メンタリングを成功させるための関わり方と信頼構築のポイントをまとめました。

メンタリングを“制度”で終わらせないために
企業の新人教育などで「メンタリング」を取り入れている会社も多いですよね。
メンター(指導者)とメンティー(後輩・学ぶ人)がペアになり、仕事のスキルやキャリアの相談にのる仕組みです。

私も以前までは、
「メンタリングって“教える人”と“教えられる人”という一方通行の関係なのだろう」
と思っていました。
でも、『1分間メンタリング』を読んで、その考えが大きく変わりました。
メンタリングは“教えること”ではなく、“お互いに学び合うこと”。
年齢や立場を超えて、人生を見つめ直すきっかけになる──そんな深いテーマが描かれていました。
『1分間メンタリング』ストーリーのあらすじ
物語には、もうすぐ60歳になるビジネスウーマン・ダイアンと、20代の若手社員・ジョシュが登場します。
知人の紹介で出会った2人は、メンターとメンティーとして関係を築くことになります。
最初、ダイアンは正直なところ、あまり乗り気ではありません。
「仕事で忙しいのに、どうして知らない若者の相談相手にならなくちゃいけないの?」
そんな気持ちから始まりました。
けれど、ジョシュの素直さや誠実さに触れるうちに、少しずつ心が開いていきます。
2人はお互いの目標を明確にし、率直な意見を交わしながら信頼関係を築いていきました。
そして、気づくのです。
「教えているつもりが、実は自分の方が多くのことを学んでいた」と。
ダイアンはジョシュとの対話を通じて、自分の中に眠っていた“やりたいこと”を思い出します。
一方のジョシュもまた、ダイアンの姿勢から“働く意味”や“自分の成長の方向性”を見つけていきます。

メンタリングとは、人生の経験を共有しながら、互いを映す鏡のような関係なのだと感じました。
成功するメンタリングの6つのコツ
本書では、「MENTORモデル」としてメンタリングが上手くいくための6つのポイントが紹介されています。
MENTORモデル
- M(Mission):ふたりの目的とビジョンを共有する
- E(Engagement):信頼できる関係を築く
- N(Network):お互いの人脈を活かして成長する
- T(Trust):誠実に関わり、正直な言葉で対話する
- O(Opportunity):お互いにチャンスをつくり合う
- R(Review & Renewal):定期的に振り返り、新たな目標を立てる
どれも、メンタリングだけでなく「人生のパートナーシップ」にも通じる内容です。
特に印象的だったのは「信頼と率直さ」。
関係を深めるためには、教えるよりも“心を開く勇気”が必要なのだと感じました。

50代からのセルフプロデュースに「異世代メンタリング」を
この本のメンター、ダイアンは50代後半の女性です。
人生100年時代の今、ちょうど折り返し地点。
50代という年齢は、まだまだ学び続けることもできるし、若い世代に伝えられることも多い。
でも、その「伝える」という行動が、実は自分の人生を見つめ直す“学び”にもなるのだと思います。
人に教えたり、助言したりする中で、
「そういえば自分は何を大切にしてきたのだろう?」と考える。
その瞬間に、セルフプロデュースが始まるのかもしれません。
異世代の人たちと関わることは、時に驚きや刺激をくれます。
価値観の違いを知ることで、自分の中の“当たり前”をアップデートできる。
それは、50代からの生き方をより豊かにしてくれる関係だと感じます。
まとめ:「教えること」は、自分を磨くこと
『1分間メンタリング』は、単なるビジネス書ではなく、“人生の対話”の物語でした。
人に何かを伝えるとき、実は自分自身にも語りかけている。
その気づきが、これからの私たちの生き方を変えていくように思います。
50代からのセルフプロデュースは、
“新しい知識を学ぶこと”だけでなく、“誰かと学び合うこと”からも始まります。
誰かのメンターになること、あるいはメンティーとして新たな視点に触れること。
どちらの立場も、自分の成長を促してくれるチャンスです。
📖 参考書籍『1分間メンタリング 進化を引き起こす6つの鍵』
私自身がビジネスについて大切なことを学んだ、「ケン・ブランチャード」の書籍のひとつです。
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