企業の新人教育などで「メンタリング」を取り入れている会社も多いのではないでしょうか。
メンター役の先輩社員が、メンティーである新人社員に仕事のスキルの指導や相談事にものってあげたりすることで、新人育成が効果的にできるという期待もあります。
「メンタリング」というと、教える側のメンターと教えられる側のメンティーという立場があり、それは一方通行型だと捉えがちです。
しかし、この本を読んでいるとメンタリングには多くの可能性があることを知らされます。
目次
『1分間メンタリング』あらすじ
この本には、もうすぐ60歳になるビジネスウーマンのダイアンと、20代で目の前の仕事に行き詰まっているジョシュの2人が登場します。
知人の仲介で2人はメンターとメンティーになります。
日々仕事に追われるダイアンは自分の時間を割いてまで、20代の若者ジョシュのメンターになる事にはじめは前向きにはなれませんでした。
しかし、ジョシュの素直な人柄に触れ、お互いのためにメンタリングを始めようと決めました。
ふたりはメンタリングのミッションを明確にし、双方が率直な意見を述べることで信頼関係を深めていきます。
教える人、教えられる人という垣根を越えて、自分の人生の方向性を考える機会を得て、自分が本当にやりたい事に双方が気づきます。
メンタリングの6つのコツ
メンタリングは、メンターとメンティーがペアを組めばでき上がるものではないでしょう。
この本の中では「MENTORモデル」として、メンタリングが上手くいくコツが紹介されています。
MENTORモデル
M(MISSION)
・ミッション・ステートメント(ビジョンと目的)をふたりで決めよう。
E(ENGAGEMENT)
・絆を深めよう。
N(NETWORK)
・お互いの人脈を使って、自分の人脈を広げよう。
T(TRUST)
・本当のことを話し連絡を絶やさず信頼関係を築こう。
O(OPPORTUNITY)
・お互いに成長のチャンスを作ってあげよう。
R(REVIEW AND RENEWAL)
・定期的に振り返り、目標を新たにしよう。
メンタリングを始めるときには、双方の性格や相手との相性も大切でしょう。
お互いの本質を知りあい、まずは個人的な側面を優先してメンタリングを始めるかどうかを決めると良いとのことです。
メンタリングの合意の後に、ミーティング方法やなどの形式的な方法を決めていくのがよさそうです。
異世代間でのメンタリングで得られることは?
この物語に登場するダイアンは50代後半の女性です。
50代というと人生100年時代なら、ちょうど真ん中あたりですね。
この先の人生の羅針盤が欲しくなった時には先輩に教えてもらったり導いたりしてもらいたいと思うこともあるかと思います。
しかし、これからの役割として若い方の力になることも必要で、そこから学ぶことも多いのではと感じました。
「異世代間メンタリング」は決して一方通行ではなく、メンター自身が助言としてアウトプットした言葉で、はたと自分を見つめる機会になることも充分にありそうです。
自分の人生の選択に迷ったとき、人から教えてもらうことばかりが解決策ではないと気づきました。
メンターとして誰かに助言をしたり役に立とうとする行動を起こすことで、実は自分の人生の羅針盤を磨いているのだな、と感じる1冊です。
異世代間でお互いの人生を昇華できる関係性ができるなんて、とても素敵だな~と思いました。
爽やかな読後感でした。