結婚やお子様の誕生を機に、生命保険の加入を検討される方は多いですね。
「家計を支えている親にもし万一のことがあっても、残された家族の生活費や教育費に困らないようにしておきたい。」
このような要望に対するお金のセーフティーを担っているのが生命保険です。
そうは言っても、このような疑問はありませんか?
「もし万一の事態が起こったときには、すべて自己努力で何とかするものなの?」
そんなことはありません。
私たちの国では年金制度があり、この中には「遺族年金」があります。
もし、小さな子供のいる親が死亡するようなことがあっても、残された遺族にはある程度の生活資金が支給されるようになっているのです。

ただ、遺族年金があると言っても、ゆとりある生活が送れるほどの支給金額にはなりません。
ですので、民間の生命保険で「遺族年金の上乗せをしておく」というのが基本的な考え方です。
お子様が生まれたばかりのまなびさん夫婦が、ちょうど生命保険を検討しています。
遺族年金について一緒に学んでいきましょう。
目次
そもそも遺族年金とは?

まなびさん、「年金」と聞くと何を思い浮かべますか?

老後に支給される年金のことですよね。
みなさんも、まなびさん夫婦のように老後に支給される「老齢年金」が思い浮ぶのではないでしょうか?
実は、日本の公的年金制度から受給できる年金にはこの3種類があります。
✔ 老齢年金 (高齢になったときに受給)
✔ 遺族年金 (家計を支える人が亡くなったときに遺族が受給)
✔ 障害年金 (重度の障害を負ったときに受給)
遺族年金や障害年金は、「万が一・・・」という起こってほしくない状況上の制度ですので、日常ではあまり話題にならず、そのため制度自体も理解されてないことが多いようです。

ここでは、家計を支える人が亡くなったときの生命保険を検討する際に、事前に知っておいた方がよい「遺族年金」について説明をします。
遺族年金はどのくらい支給されるのでしょうか?

国の年金制度の中に「遺族年金」があるのは安心ですね。
私たちの場合で、もし主人に万一があった時の遺族年金の支給額ってわかるのですか?

遺族年金の支給額の計算は複雑なのですが、ここでは簡易計算を用いておよその支給額を計算してみましょう。
まなびさんご夫婦を例にとって、遺族年金の概算額をシミュレーションしてみましょう。
遺族年金の支給額を計算するためには、まなびさんのご主人の情報がいくつか必要になります。

わかりました。僕の情報が必要なのですね。
僕は会社員で勤めてから5年目です。
会社では厚生年金に加入しています。
給料はボーナスを含めて今までの平均が420万円くらいです。
子どもは一人目が生まれたばかりです。

まなびさん、ありがとうございます。
ご主人は会社で厚生年金に加入されているので遺族年金は
「2階建て」で支給されます。
1階部分が「遺族基礎年金」
2階部分が「遺族厚生年金」です。
✔ 受給できる人
「子供(18歳未満)のいる妻・夫」もしくは「子ども(18歳未満)」が受給できます。
✔ 受給金額
【基本額】 定額で 780,100円(年額)
【加算額】 子ども2人目まで・・・1人につき 224,500円(年額)
子ども3人目以降・・・1人につき 74,800円(年額)
*2019年度の金額です。

じゃあ、私たちの場合は遺族基礎年金としての支給額は
780,100円と224,500円を足して、
1,004,600円ですね。
年額でおよそ100万円くらいですね。
✔ 受給できる人
厚生年金に加入している(加入期間があった)人に、生計を維持されていた親族(妻・子ども・要件を満たした父母等)が受給できます。
*受給要件にはもう少し細かな詳細があります。
✔ 受給金額

まなびさんのように、厚生年金加入中で加入期間が25年未満の場合は、以下の計算式でおよその支給額が計算できます。
計算式 平均標準報酬月額 × 1.233 = 遺族厚生年金額(年額)
*「平均標準報酬月額」とは、ボーナスも含めた今までの平均年収を12で割った額のことです。

僕の場合の遺族厚生年金を計算してみよう。
年収が420万円なので、平均標準報酬月額は35万円だね。
(420万円 ÷ 12ヵ月 = 35万円)
350,000 × 1.233 = 431,550
僕の場合は、年額で約43万円だね。

まなびさんの場合の遺族年金の支給額がおおよそ出ましたね。
1階部分「遺族基礎年金」・・・およそ100万円
2階部分「遺族厚生年金」・・・およそ43万円
合計で、年額支給が143万円となります。

もし僕に万一があっても遺族年金から妻や子どもに年間143万円、つまり毎月12万円ほど支給があるんですね。

遺族年金から受給できるおよその金額を確認してから、生命保険にどのくらい加入するかどうか決めるといいのです。

私たちの場合、もし主人に万一があったときには毎月25万円くらいの生活費があると安心だと思っています。
まなびさんの万一時の「必要保障額」は月額が25万円ということですね。
✔ 「必要保障額」-「遺族年金額」=「生命保険金額」
の計算に当てはめてみましょう!
25万円 - 12万円 = 13万円(毎月の必要保障金額)

まなびさんが生命保険を検討するときには、死亡保障として月額13万円ずつ受け取れる「収入保障タイプ」の保険がいいかもしれませんね。
遺族年金の制度を知らずに、生命保険の検討を始めると過大な保険金額を設定して保険に入ることになってしまいます。
また、毎月支払う保険料も必要以上に割高になってしまうためもったいないですね。
会社員と自営業者で遺族年金は違うのですか?

そういえば、僕の友人も最近子どもが生まれたんです。
彼は会社員ではなく、親の飲食店を継いだ自営業者です。
ずっと国民年金に加入していると言っていましたが、彼の遺族年金はどうなるのですか?

その方のご家族は、1階部分にあたる「遺族基礎年金」部分だけが受給できます。
会社員の方と比べると、遺族厚生年金が受給できないため全体の受給金額は少なくなります。
注意点としては、自営業者の方で国民年金保険料を納付していない場合、ご家族が遺族年金を受け取れない場合があります。
国民年金保険料の納付よりも、民間の生命保険を検討される方がときおりいらっしゃいますが、まずは国の年金制度が享受できるように国民年金保険料を納めることを強くお勧めします。
その理由は、国の年金制度が「老後」「死亡時の遺族保障」「障害への保障」と幅広く網羅されているからです。
これらの保障をすべて民間の保険で賄うよりも、国の年金制度を利用する方がコストパフォーマンスも高いと言えます。
まとめ
✔ 民間の生命保険の加入は、遺族年金で足りない分の上乗せとして検討しましょう。
保険営業の方より生命保険の提案を受けたときには、あなたの状況に合った遺族年金を算出し考慮した保険提案になっているかを確認してください。
✔ 個人事業主の場合、遺族年金は「遺族基礎年金」部分となり、会社員の方よりも受給額が低めになります。
民間の生命保険にたよる割合が大きくなるでしょう。
✔ 遺族年金は、年金保険料を納めていることで受給できます。
民間の生命保険よりも、国民年金保険料の納付を優先に考えてくださいね。
※出典:生命保険文化センター(2019年)日本年金機構(2020年)のデータに基づいて作成されています。
アクションプラン
ここでは、まなびさんの例を挙げて、サラリーマン世帯のご夫婦に子どもが一人という設定で制度の概要と遺族年金の金額を算出してみました。
もう少し詳しく知りたい方の参考になるサイトをご紹介します。
① 保険会社が提供している「遺族年金早見表」のリンクです。
「オリックス生命 遺族年金」
② 厚生労働省の公式HPのリンクです。
「教えて!公的年金制度 年金はどのようなときに受け取れるの?」
まずは、遺族年金制度とご自身の場合の受給額について理解を深めてみましょう。